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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
いよいよおれの鑑定通り、ここの絵馬が無事であるとすれば、大津屋の亭主は丸多をだまして、偽物を押し付けたに相違ねえ。それを知らずに偽物を後生大事にかかえて、丸多の亭主は何処をうろ付いているのだろう。考えてみると可哀そうでもある。なんとかして早くそのありかを探し出してやりてえものだ」
「帰りに堀ノ内へ廻りますかえ」
「ついでと云っちゃあ済まねえが、ここらまでは滅多に来られねえ。午飯を食ってお詣りをして行こう」
二人は堀ノ内へまわって、遅い午飯を信楽で食って、妙法寺の祖師に参詣した。その帰り路で、半七は又云い出した。
「おれは又、途中で考え付いたが、そのお城坊主の次男……万次郎とかいう奴は、大津屋の亭主とぐるになっているのじゃあるめえかな。丸多が絵馬で半気違いになっているのに付け込んで、大津屋が先ず偽物でいい加減に儲けた上に、今度は万次郎が入れ代って、謀叛人の絵馬を云いがかりに、丸多を嚇しつけて何千両という大仕事を企んだのじゃあねえかと思うが……。もしそうならば、重々太え奴らだ。しかしお城坊主の伜なんぞには随分悪い奴がある。下手をやると逆捻じを喰うから、気をつけて取りかからなけりゃあならねえ」