Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

とき ところ ひと

時 処 人

岸田 国士

Read 時 処 人 (とき ところ ひと) by 岸田 国士 (きしだくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,739 characters · 10 screens

Aozora Bunko

の三拍子そろつた恰好の住宅である。「天気よし」という表現は、緑雨らしくて私には面白い。

緑雨といえば明治文壇の奇才で、その「あられ酒」は私の愛読書であつたから、彼が病を得て三年間こゝで療養生活を送つたことを聞くと、不思議な廻り合せという気もする。

まつたく、小田原というところは、冬の晴れた日に、そのよさを発揮する土地である。病床にある緑雨が「海よし、山よし」とまず風景をたたえ、ついで一と息に、「天気よし」と、明るく暖かい太陽の恩恵に感謝の叫びをあげたところ、私も同感である。

小田原は、今の私にとつて、実にぴつたりした申分のない土地である。

この程度の小都市は、私に適度の休息と刺激とを与えてくれる。

必要なものはほとんどなんでもあるが、余計なものはそれほどない。

魚の新しいことはもちろん、海岸としては野菜も豊富である。外国兵がいないこと、女の化粧がつつましやかなこと、梅の花が美しく咲くことなど、私にはありがたい。

ソクラテスの言葉として伝えられているのに、こんなのがある。曰く――「アテネの町は恋人の如くに人々から愛された。ここへ散歩に来ること、閑をつぶしに来ることを、人は愛した。