Japanese reading practice

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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

Read 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 67,333 characters · 134 screens

Aozora Bunko

それは先にしるした通りです。

「ところが、このトックリバチには、もう一つ、とてもおもしろいことがあるんだよ」

伯父さんは、なんだかじらすような笑い方をして、一太郎君の顔をごらんになるのでした。

一太郎君は、そのおもしろいことというのは、いったい何だろうと、早く聞きたくてしかたがありません。

「トックリバチは、さっきも言ったように、たいへんな苦労をして、この美しい壺をつくりあげるのだが、それはけっして自分のためではないのだよ。

この壺は、自分がやすんだり眠ったりするためのものではなくて、子供を育てるためのものなんだ。子供のお家なのだ。

トックリバチは、壺をつくりおわると、こんどは子供の食料あつめにとりかかる。その食料というのは、長さ一センチにもたりない青虫だ。小さな蛾の幼虫なんだね。

そういう青虫の神経を、得意の毒針でちょっと刺して、逃げだしたりなんかできないように、からだをしびれさせておいて、それを脚ではさんで、飛びかえって、壺の中へ入れる。

一匹じゃない。十匹以上も、同じようにして、運んできては、壺の中へためこむのだ。

さて、食料の用意ができると、トックリバチは、壺の中へ卵を一つ生みつけて、それから、例の土をこねたセメントで、そっと壺の蓋をして、そのままどこかへ飛び去ってしまう。