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あんごうのやくわり

暗号の役割

海野 十三

Read 暗号の役割 (あんごうのやくわり) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,409 characters · 23 screens

Aozora Bunko

表と裏とから二手に分れて入った。烏啼の眼の前には戸締りなんか無いも同然だ。

「ばあやをひっくくって、押入の中へ入れちまいました、そのほかに誰も居りません」

「そうか。じゃあ金庫部屋へ踏みこめ」

袋猫々の書斎に、その秘密金庫はあった。見事な壁掛をはずすと、その下に金庫の扉が見えていた。

しかしこれが仲々明かないのであった。

烏啼は金庫破りの三名人の豹太、沙朗、八万に命じて、この仕事に掛からせた。

だがさすがの名人たちも、一時間たち、二時間たったがどうすることも出来なかった。

「爆破しますか」

碇健二が、しびれを切らせていった。

「そういう不作法なことは、おれは嫌れえだ。あくまで錠前を外して開くんだ」

烏啼は頑として彼特有の我を通す。

三時間、三時間半……三名人の顔に疲労の色が浮かぶ。

「まだかね」

碇が、たまりかねて声をかけた。

「兄貴、黙っていてくんねえ」

叱られた。

「なるほど。こんなに時間がかかるようじゃ、探偵を泊りがけで追払わなければならないわけだ」

碇は、退屈のあまり机の引出をあけたり、本を一冊ずつ手に取って開いたりした。

戸棚から、先日彼の失った鞄を見つけたときは、はっと緊張したが、中をあけてみると肝腎の重要書類がない。