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さいこにほんのじょせいせいかつのこんてい

最古日本の女性生活の根柢

折口 信夫

Read 最古日本の女性生活の根柢 (さいこにほんのじょせいせいかつのこんてい) by 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,493 characters · 19 screens

Aozora Bunko

大汝ノ命などの名の一部分の意義は、大名持すなわち多数の名称所有者の意であって、名誉ある名「大名」を持つという意ではないようだ。事実いろいろの名を持った神である。名を人格の一部と見て、本名を知れば、呪咀なども自在に行うことができるものと見たところから、なるべく名を周知させぬようにしたのである。男はそれではとおらぬ時代になっても、女は世間的な生活に触れることがすくなかったため、久しく、この風は守りおおせたものである。平安朝の中末のころになっても、やはりそうであったようである。

万葉(巻十二)に「たらちねの母がよぶ名を申さめど、道行く人を誰と知りてか」という歌のあるのは『あなたは、自分の名も家も言わないじゃありませんか。あなたがおっしゃれば、母が私によびかける私の名をば、おあかしも申しましょうが、行きすがりの人としてのあなたを、誰とも知らずに申されましょうか。』というのである。兄弟にも知らせない名、母だけが知っている名――父は知っているにしてもこうした言い方はする。しかし、母だけの養い子の時代を考えると、父母同棲の後もそんなこともなかったとは言えない――その名を、他人で知っているというのは夫だけである。