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さいこにほんのじょせいせいかつのこんてい
最古日本の女性生活の根柢
折口 信夫
Read 最古日本の女性生活の根柢 (さいこにほんのじょせいせいかつのこんてい) by 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
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つまりは物語や、それから游離した歌謡の上にのみ、情知り訣知りらしく伝わったので、後世から憧れるほどのものでなかったのである。ただ、ことの神事に関する限り、著しく女性としての権威を顕し、社会的にも活動したのは事実である。神の意思を宣伝し、神の力を負うて号令する巫女の勢力が、極度に発揮せられるのである。
近江・藤原の宮のころから禁じられだしたが、なお、その行きわたらなかった地方には、存していたろうと思われるのは、女子の従軍である。昔から学者は軍旅の慰めに、家妻を伴うたものと解している。もっとも、この法令の出たころは、女と戦争との交渉について、記憶が薄らいでいたものであろう。戦争における巫女の位置というようなことを考えると、巫女にして豪族の妻なる者の従軍は、巫女であるがためといふ中心点より、妻なるがためという方へ、移っていっていたのである。
日本武尊の軍におられた橘媛などは、妻としての従軍と考えられなくもない。崇神天皇の時に叛いた建埴安彦の妻安田媛は、夫を助けて、一方の軍勢を指揮した。名高い上毛野形名の妻も、その働きぶりを見ると、単に「堀川夜討」の際の静御前と一つには見られない、やはり女軍の将であったらしい。