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きのこせっぽう

木の子説法

泉 鏡花

Read 木の子説法 (きのこせっぽう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,107 characters · 34 screens

Aozora Bunko

経験じゃ。)

と政治狂が、柱へ、うんと搦んで、尻を立てた。

(ぼくは、はや、この方が楽で、もう遣っとるが。)

と、水浸しの丸太のような、脚気の足を、襖の破れ桟に、ぶくぶくと掛けている。

(幹もやれよ。)

と主人が、尻で尺蠖虫をして、足をまた突張って、

(成程、気がかわっていい、茸は焼けろ、こっちはやけだ。)

その挙げた足を、どしんと、お雪さんの肩に乗せて、柔かな細頸をしめた時です。

(ああ、ひもじいを逆にすれば、おなかが、くちいんだわね。)

と真俯向けに、頬を畳に、足が、空で一つに、ひたりとついて、白鳥が目を眠ったようです。

ハッと思うと、私も、つい、脚を天井に向けました。――その目の前で、

(男は意気地がない、ぐるぐる廻らなくっちゃあ。)

名工のひき刀が線を青く刻んだ、小さな雪の菩薩が一体、くるくると二度、三度、六地蔵のように廻る……濃い睫毛がチチと瞬いて、耳朶と、咽喉に、薄紅梅の血が潮した。

(初茸と一所に焼けてしまえばいい。)

脚気は喘いで、白い舌を舐めずり、政治狂は、目が黄色に光り、主人はけらけらと笑った。皆逆立ちです。そして、お雪さんの言葉に激まされたように、ぐたぐたと肩腰をゆすって、逆に、のたうちました。