Japanese reading practice

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ざくろ

柘榴

山本 周五郎

Read 柘榴 (ざくろ) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,342 characters · 25 screens

Aozora Bunko

「その枯葉が風の拍子で、淀みへ吹き寄せられた、――此処のお世話になったのも、ちょうどそんな工合でござりましょうかな」伊助はこう云って静かに笑った。「おかげさまで生れて初めて落着きました。こんな静かな、のびのびした暮しができようとは、夢にも思いませんでしたが――」

こうして親しく話すようになっても、伊助の態度は少しも変らなかった。些かでも狎れた様子とか、怠けた風はみせない。こちらから呼びかけない限りは、黙ってこつこつ自分の仕事をしている。酒なども出してやれば飲むが、自分では決して口にしないようだった。

或る年の秋だったが、林の中を歩いていると、あけびのなっているのをみつけた。採ろうとしたが高いので、伊助を呼びに戻った。彼は薪を割っていたのだろう、納屋の前のところで台木に腰をおろし、こちらに背を向けて、なにか手に持った物をじっと眺めていた。割られた木の、酸いような匂いが、そのあたりいちめんに漂っている。なにを熱心にながめているのだろう。真沙はふと脇のほうから近寄りながら覗いた。――老人の掌の上には、柘榴の熟れた実があった。真沙はなんだと思って苦笑しながら、