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なりひらぶんじひょうりゅうきだん
業平文治漂流奇談
三遊亭 円朝
Read 業平文治漂流奇談 (なりひらぶんじひょうりゅうきだん) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 159,974 characters · 317 screens
証文はどうです」
蟠「それは至極面白い、酒の座敷ではそう云う洒落(しゃれ)た証文は面白い、それじゃア紀伊國屋、若し金が返せぬときは女房を貴殿方へ召使に差上(さしあげ)るという証文はどうだ」
友「成程それはどうも」
蟠「面白かろう」
友「飛んだお面白い洒落で」
友之助は根が善人ですから、よもやと思って得心しますと、
阿「私(わたくし)が書きましょう」
と阿部忠五郎がすら/\と書きましたのを知らずにピタ/\印形を捺(お)して向うへ渡しました。阿部忠五郎と云う男は元より碁に負ける様な者ではない、碁は三段から打ちまして田舎廻りの賭碁で食っている。忠五郎企(たく)みも企んだ証文を書いて百両賭で遣ると、忽(たちまち)にパタリと紀伊國屋が取られました。
蟠「どうした」
友「取られました、残念でございます、これは負切(まけき)りにはしません」
蟠「まア/\そう焦(あせ)るな、心配すると面白くない、互いに熱くなって筋を出しては面白くない、金はどうでも宜い、まア/\一杯飲んで機嫌好(よ)く帰れ」
とこれからお酒になって紀伊國屋を機嫌能(よ)く帰しましたが、友之助は正直な男だから気に掛りますが、四月三十日(みそか)に金子を返す