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しご
死後
正岡 子規
Read 死後 (しご) by 正岡 子規 (まさおかしき) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,756 characters · 14 screens
土葬はいかにも窮屈であるが、それでは火葬はどうかというと火葬は面白くない。火葬にも種類があるが、煉瓦の煙突の立っておる此頃の火葬場という者は棺を入れる所に仕切りがあって其仕切りの中へ一つ宛棺を入れて夜になると皆を一緒に蒸焼きにしてしまうのじゃそうな。そんな処へ棺を入れられるのも厭やだが、殊に蒸し焼きにせられると思うと、堪まらぬわけじゃないか。手でも足でも片っぱしから焼いてしまうというなら痛くてもおもい切りがいいが蒸し焼きと来ては息のつまるような、苦しくても声の出せぬような変な厭やな感じがある。其上に蒸し焼きなんというのは料理屋の料理みたようで甚だ俗極まっておる。火葬ならいっそ昔の穏坊的火葬が風流で気が利いているであろう。とある山陰の杉の木立が立っておるような陰気な所で其木立をひかえて一つの焼き場がある。焼き場というても一寸した石が立っておる位で別に何の仕掛けもない。唯薪が山のように積んである上へ棺を据えると穏坊は四方から其薪へ火をつける。勿論夜の事であるから、炎々と燃え上った火の光りが真黒な杉の半面を照して空には星が一つ二つ輝いでおる。其処に居る人は附添人二人と穏坊が一人と許りである。