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きせんのなかのちちとこ
汽船の中の父と子
小川 未明
Read 汽船の中の父と子 (きせんのなかのちちとこ) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 4,175 characters · 9 screens
二人は、また、それから航海をつづけました。
北の方の海に、まわってきましたときに、父親は、港に上がって、近くの町へまいりました。そして、ある時計屋へいって、そのオルゴールに合う、鍵を探したのであります。ちょうど、それに合う鍵を見つけました。
船にもどってから、二人は、そのオルゴールを鳴らすことができたのです。
おじいさんは、鳥の唄だといいましたが、まことに、その音は悲しいような、楽しいような、さまざまな心持ちを呼び起こすものでした。
このとき、どこからともなく、あまつばめが、群れをなして飛んできました。そして、船のまわりでしきりに鳴き騒ぎました。
あまつばめは、めったに、こうして騒ぐものではありません。オルゴールの音をきいて、どこから飛んできたのでありましょう。すると、たちまち、天気が変わってまいりました。
いままで輝いていた太陽は、隠れてしまい、ものすごい雲がわいて、海の上は、怖ろしい暴風となって、濤は狂ったのであります。ほんとうに、どうしたことか、その中をあまつばめは、船のまわりに、岩角に、集まってしきりに鳴いていました。
とうとうその夜のことです。