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あらいづくりのうまさ
洗いづくりの美味さ
北大路 魯山人
Read 洗いづくりの美味さ (あらいづくりのうまさ) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 1,233 characters · 3 screens
このかれい、なかなか大きく成長し、一貫目以上のものも決してめずらしくないが、味の上では問題にならない。
元来、洗いづくりは、生きた魚でなくては駄目なものである。ところが京の魚市場はもちろん大阪の市場にも、東京のそれのような生簀の設備がない。あっても不完全である。従って洗いづくりに事を欠き、洗いと言っては東京の独壇場の観がないではない。だが、東京とてもあの黒だいを紙のごとく薄く洗ったものなど、てんで問題にならないものもあって、一概に誇れたわけのものでもないが、二、三百匁くらいのすずきの洗い、同じくこちの洗いなどは、充分自慢に価する。また、三、四百匁のまだいの洗いも相当のものであるが、星がれい・すずき・こちには及ばない。特殊のものに、あかえい・なまず・たこなど、ややグロなものがあるが、まずは下手珍味の類に加うべきである。こいとふなでは格段にふなが美味く、伊勢えびと車えびでは車えびが調子高く、うなぎ・どじょうの洗いを酢味噌で食う手もあるが、夕顔棚の下ででもなければうつらない。
最後に極め付この上なしを紹介する。それは百匁くらいのいわなの洗い、成熟期七月ごろの鮎の洗いなど。