Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんやのきゃく
深夜の客
大倉 燁子
Read 深夜の客 (しんやのきゃく) by 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,926 characters · 28 screens
青褪めた顔
取り次ぎは出て来ない。
奥座敷の方に灯は見えるが、家の中は妙にしいんとしていて、まるで人気がないようだ。もう一度ベルを鳴らしてみた。耳を澄ませていると遠くの方で跫音のするのが聞えた。二三分待ったが、やはり誰も姿を見せない。
洋子は少し焦れったくなったので、今度は続けさまにベルを押した。
青褪めた顔
すると、ドアが細眼に開いて、そこから物怖じしたような二つの眼が覗いた。
「東京から参りました。御主人にお取り次ぎ下さい」
と、苦笑しながら名刺を出した。
相手は無言で、細い白い手を差延べてその名刺を受けた。と思うと、急にさッとドアを開けて、さも待ち焦れてでもいたように、息まではずませて、
「どうぞ、先生、お入り下さいませ。よくいらして下さいました!」打って変ったような人懐い態度で迎えた。
洋子は一目で、それが評判の美人、有松の養女美和子だと分った。十七八位だろうか、凄いほどの美しさだが、何分にも青褪めてまるで病人のようだ。しかも、彼女は小刻みにぶるぶると体を震わし、唇のあたりには微かな痙攣さえ見える。これはただごとではない、と直感したので、
「お嬢様、どうかなすったんですか?」