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ふかがわにょうぼう
深川女房
小栗 風葉
Read 深川女房 (ふかがわにょうぼう) by 小栗 風葉 (おぐりふうよう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,597 characters · 57 screens
第一、傍がそういつまでも若い気じゃ置かせないからね。だから意気地がないというより、女はつまり男に比べて割が悪いのさね」
「いけねえいけねえ、じきどうも話が理に落ちて……」と男は手酌でグッと一つ干して、「時に、聞くのを忘れてたが、お光さんはそれで、今はどこにいるの、家は?」
「私?」女はちょっと言い渋ったが、「今いるとこはやっぱり深川なの」
「深川は分ってるが、町は?」
「町は清住町、永代のじき傍さ」
「そうか、永代の傍で清住町というんだね、遊びに行くよ。番地は何番地だい?」
「清住町の二十四番地。吉田って聞きゃじき分るわ」
「吉田? 何だい、その吉田てえのは?」
「私の亭主の苗字さ」と言って、女は無理に笑顔を作る。
「え※(疑問符感嘆符、1-8-77)」と男は思わず目を見張って顔を見つめたが、苦笑いをして、「笑談だろう?」
「あら、本当だよ。去年の秋嫁いて……金さんも知っておいでだろう、以前やっぱり佃にいた魚屋の吉新、吉田新造って……」
「吉田新造! 知ってるとも。じゃお光さん、本当かい?」
「はあ」と術なげに頷く。
「ふむ!」とばかり、男は酔いも何も醒め果ててしまったような顔をして、両手を組んで差し俯いたまま辞もない。