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はいいろのきょじん
灰色の巨人/魔法博士
江戸川 乱歩
Read 灰色の巨人/魔法博士 (はいいろのきょじん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 156,085 characters · 312 screens
その夜は、警視庁からやってきた三人の刑事が、ひとりは、店員にばけて、店の売り場に立ち、ふたりは、夜の銀座をさんぽしているような顔をして、大賞堂のショーウィンドーの前を、いったりきたりしていました。
それとはべつに、明智探偵のほうでも、どこかで見はりしているはずです。しかし、明智探偵が、どんな計略をたてているかは、大賞堂の主人や、支配人にも、わからないのでした。
その夜は、どんなお客さまがあっても、金庫の中の高価な宝石は見せないことにしました。支配人が、そのことを店員たちにいいつけますと、店員たちも、灰色の巨人の予告のことは、よく知っていましたので、そのいいつけを、かたくまもりました。
店には支配人のほか七人の店員(そのうちのひとりは、刑事がばけた、にせの店員です。)がいましたが、夜がふけるにしたがって、いまにも怪盗がやってくるのではないかと、みんなビクビクものです。なんでもないお客さまがはいってきても、そのたびにハッとして、あいての顔を、あなのあくほど見つめるというありさまでした。
ところが心配したほどのこともなく、十時になって店をしめるときまでは、なにごともおこりませんでした。