Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Read 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 101,908 characters · 204 screens
そして、一等運転士から命じられたとおり、今はかえって、帆村荘六の身辺をまもって立つという変り方であった。
房枝は、早くも、一切のことをさとってしまった。ことに、一等運転士が、身分証明書を見たとき、「ほ、帆村荘六!」と、叫んだのを聞いてしまったのだ。
(やっぱり、そうであったか。名探偵帆村荘六に、どこか似ていると思ったら、似ているはずだ、その本人なんだもの)
房枝は、思わず、曾呂利本馬、ではない帆村荘六のそばにかけよったが、うれしいやら、ちょっときまりがわるいやらで、
「帆村さん。どうもすみません。あたしを、救ってくだすって」
といっただけで、あとは口がきけなかった。
が、とにかく、よかった。いつも人にいじめられてばかりいた曾呂利本馬! 病身らしい青白い顔の曾呂利本馬! 脚をけがして、繃帯をまいている気の毒な曾呂利本馬! 房枝がいつもかわいそうで仕方のなかったその曾呂利が、ここで一変して、アラビヤ馬のような精悍な青年探偵帆村荘六になったのである。もうこうなったうえは、彼のため、房枝は胸をいためることはいらなくなったのである。房枝の身も心もかるくなった。