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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Read 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 105,794 characters · 211 screens
そして彼は秋おそいみそぎの水を浴びなければならないように、四囲の事情が迫っていた。それは、みそぎをすることによって神々に誓う女禁の界に立つことだった。一旦、それを誓えばこれを破ることが出来ない、破れば彼の運命が逆転して死を招くか、不具者になるかの境であった。しかし、持彦は悠然として水をあび、そしてみそぎの行いを済したのである。それを見澄した上の官人は小気味宜げに嗤っていった。
「そちはこれで二度と女にあえなくなるだろう、そちが逢おうとしても、女の方で逃げ出すか避けるかするであろう。」
持彦は笑った。
「これしきのことで心のかわるような女は、やつがれ知り申さぬ。」
「神の式をこれしきのこととは、囈けも程にされい。」
「水につかることが厳かな御式なら、やつがれ毎日這入り申そう。」
「もしこたび女を呼ばうようなことがあれば、そちは免官になり女も倉住居をせねばならぬのだ、神をおそれぬそちは、間もなく神の名で足なえか、眼しいになって悔をのこすだろうに。」
「足なえ結構、眼しいも結構、存分に神罰というものがどんなものだか、受けて見たいものだ。」
「性懲りのない輩よ、早く此処を去るがよい。