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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Read 狂い凧 (くるいだこ) by 梅崎 春生 (うめざきはるお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 111,430 characters · 226 screens

Aozora Bunko

「いや。東京風の煮〆めたうどんに、お粗末なサツマ揚げを入れたら、これは食えたもんじゃなかろう。別に東京の悪口を言うつもりはないけれどね」

「食べてみなくちゃ判らないな」

「そうだ。食べなくては判らない」

栄介は窓の方に眼を移し、空をしばらく眺めた。昨日と違って空は雲が多く、風にしたがって刻々形を変えている。

「おれは当り屋で、その天ぷらうどんを二杯御馳走になった。そして帰って来た。ただそれだけの話さ」

「婆さんは?」

「婆さんはいなかった。隠居したか、もうその時生きていなかったのかも知れない。今日は風が強いようだな。寝てばかりいると、気候の変化が、どうも身にしみて判らない」

彼は視線を私に戻した。

「三人の父親から相当な金額が、当り屋に支払われた。つまり示談金というわけだね。そのおかげで、三人の生徒は処分を免かれた。そして城介は、事件以前の日付けで、退学することになった。三方一両損という落語があるが、こりゃひでえもんだね」

「城介君が一番悪いクジを引いたということだな」

栄介は弱々しくうなずいた。

「でも、仕方がなかったんだろう。おやじも弟もね。君が見た標識柱の交通事故みたいなものだ。