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きょうさいかていえんまんじゅつ
猿々合戦
小野 佐世男
Read 猿々合戦 (きょうさいかていえんまんじゅつ) by 小野 佐世男 (おのさせお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 29,526 characters · 61 screens
「ヘエ――」
「では又――お出でなさったんですか?」
「しばらく現われないで、よいあんばいだなんて申しておりましたが」
「ばあーさんですか」
これは父の声だ。
「いやですなア――」
「旦那は何もごぞんじなく引越していらっしたんですな?」
「この家は有名な化けもの屋敷ですよ」
私は書生の徳吉さんの傍で、じっと聞耳をたてていた。
広い台所のかまちに腰をおろした、これ等の近所の商人の語るところによると、この家は人殺しの家であったというのである。この家の主人というのは物持ちの老婆であって、風流好みのこの屋敷を建てたが、一人身の淋しさから、一人の甥御と二人暮しをはじめた。ところが、この甥が女のことで金につまり、この老婆の財産に眼をつけた。そしてばあさんさえなき者にしてしまえば、財産はたった一人の甥である自分の懐にころげ込んでくると考え、或る日、とうとうこの老婆を殺害して、その死体をピシピシと小さくへし折って、箱につめこみ、石の重しをつけ、この台所の井戸深く沈めたのである。この犯罪はその六年間発覚しなかったが、丁度七年目に、老婆を殺した甥とこの男といっしょになった女とが、共に物の化におそわれるが如く、発狂状態になり、はては自分達のやったことを口走り、ついに警察の調べとなり、この井戸の中から箱が浮び上り、白骨と化した老婆の変りはて