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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Read 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 174,521 characters · 344 screens
それでも一昨日だったか何かの話のついでに、わたしにあやまりました、姉さんの誠意に対してすまなかった、と。あれやこれやをひっくるめての意味ですが。そうあやまって自分も明るくしているわ、私もよかったと思います。マア借金と心の負債は、そのとき出来るだけで返しておくことです、又かし借りのできるのは仕方がないわ、それはそのときのこと。
うちの畑は何というか、ひよわい子をもった母さんのような気を起させます、きのう南瓜の種を五つ蒔いたがどうなるでしょう。つるなの箱で雀が砂浴びして、掘って種をとばしてしまったらしいのよ。きのうよくよく見たらば大粒の種がむき出しになっていました。ことしは初めてで、自分のやりかたが自分で分らないし土の工合も分らず、たよりないことおびただしい始末です。それに今は、ここへ植えても、この庭の部分はひとが使うかもしれず、というところもあって。おとなりのうちは年中畑眺めていて、ちょいちょいの手入れがいいのねきっと。まめであるか、欲ばりか、どっちかでないと。二時間時間がまとまってあると、さアとこうやってテーブルへくっついてしまう細君は、畑むきではないのよ。