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まひるのおばけ
真昼のお化け
小川 未明
Read 真昼のお化け (まひるのおばけ) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 7,904 characters · 16 screens
上
上
光一は、かぶとむしを捕ろうと思って、長いさおを持って、神社の境内にある、かしわの木の下へいってみました。けれど、もうだれか捕ってしまったのか、それとも、どこへか飛んでいっていないのか、ただ大きなすずめばちだけが二、三びき前後を警戒しながら、幹から流れ出る汁へ止まろうとしていました。しかたなく、鳥居のところまでもどってきて、ぼんやりとして立っていると、せみの声がうるさいほど、雨の降るように頭の上からきこえてくるのでした。そのとき、勇ちゃんが、あちらから駆けてきました。
「なにをしているのだい?」
「なんにもしていない。」
光一は、さびしく思っていたところで、お友だちをばうれしそうに迎えたのです。
勇吉は、並んで鳥居によりかかるとすぐに、問題を出して、
「長い足で歩いて、平たい足で泳いで、体を曲げて後ずさりするもの、なあんだ……。」と、光一に向かってききました。
「考えもの?」
「うううん、光ちゃんの知っているものだよ。」と、勇吉は笑いました。
「なんだろうな。」
光一は、しきりに考えていました。
かぶとむしではないし……。
「ああ、わかった。ばっただろう?」