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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Read 石ころ路 (いしころみち) by 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,254 characters · 39 screens
島へ着いた翌日から強い風が出て、後三日にわたって吹いて吹き捲った。雨も時々まじったが、何より風の強さに驚いた。島の人に訊くと、こんな風ならしょっちゅうだと言う。もっとひどいときのはどんなだろうと思った。
僕の着いた日は、海にうねりこそあったが、穏かなうす曇りで、船から望んだときの三宅島はその火山島らしい円錐形の半ばの高さから下方は淡緑色に蔽われて、陸へ上るとすぐ、そこは黒砂のあまり大きくない浜で、そこから三十メートルぐらいの断崖についている急な坂路を上って、ゆるやかな傾斜地を走っているやや広い路に出たとき、あたりの土手にたくさんある灌木はもう若々しい広い葉っぱを出しているし、路の両わきの木々も、それからところどころの樹の間から眺望されるなだらかな山裾、それはしだいに盛り上って向うに島の中心をなす雄山の柔かいふくらみが眼を惹きつける、そこら一帯の榛の木の疎林、あたりの畑地にもいっせいに新芽をふきだしているのを見て、僕はいきなり春の真中へとびこんだような気がしたものだ。
それが三日間の強い北西の風でまた冬に逆もどりした形だった。僕の来た分の次の汽船は島へ近寄れなくって、大島の波浮港まで避難したという。