Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Read 石狩川 (いしかりがわ) by 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 253,535 characters · 506 screens

Aozora Bunko

疑いぶかく、羅卒は眼をほそめて凝ッとこちらを見た。

「陸前からまいった」

「陸前? ふーう、いつわりではなかろうな」

「何しに、――」

話をすたッと断ちきるようにそう云い、阿賀妻は一足まえに出た。羅卒はけおされて傍らに避けた。思わず道をひらいて通して了ってから、彼はおどろいてその後を追った。いつの間にか言葉が改まっていた。

「どなたにご用でしょうか」

「そなた、開拓使の番人か」

うしろにいる男は何とも答えなかった。

「北海道から、堀という男が見えとるはずじゃ、ご存じか」

羅卒はそれにも明瞭りしたことが云えず、手をあげて闖入者を案内しているのであった。

「そちら、そちらです」

「まずその男に会いたいと思うておる、それから黒田どのじゃ」

阿賀妻はそう云って、示されたかどを曲った。聞こうが聞くまいが、通りぬけてしまえば、あとはどうでもよかった。

官員らしいものが二人、大ごえに喋りながら近づいて来た。ひどい九州なまりで、談じていることの内容は判らなかった。しかし彼らは昂奮していた。その人も無げな騒々しいひびきのなかで、一つの固有名詞が阿賀妻の足をがくんと停めた。

「マルヤマサクラ、丸山作楽」