Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Read 石狩川 (いしかりがわ) by 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 253,535 characters · 506 screens
野におりた烈しい風は、※るにつれて速度と圧力をたかめていた。西北の凍結した海洋をわたって、一気にこの野に辷りこんだ猛烈な風は、もはやそうなると、激突する氷雪の巨大な塊りであった。人や家や木や、地表のものは目にも止まらぬのだ。彼らが逆らえば、風は呻きをあげて根こそぎにひっ攫おうと咆哮した。
その風の下をかい潜って、高倉はむが夢中で歩いていた。行きつくところまで行き着かなければ、彼は生きて会わせる顔が無いと思った。脳裏にさまざまな人間が映っていた。
やがて夜が来た。くら闇は吹雪にとけて行った。不透明な視界は、いよいよ墨汁色に塗りたくられた。
おう、おう――と獣のようにうめいて、人間は連れを呼ばって進んだ。先にいた高倉は、おうと呻ってその足をだした。そして重心を移そうと踏みつけた瞬間、足は空にのめっていた。乗りだした、彼の身体はもんどり打った。あッと呼吸がつまって宙に投げだされた。転げだした。実にとめどもなく急勾配をころげていた。一刹那のようでもあったし、ひどく長い時間のようでもあった。ずしんと横にたたきつけられ――彼は雪堆のなかに埋まった。
咄嗟には、打身の疼みを忘れていた。