Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Read 石狩川 (いしかりがわ) by 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 253,535 characters · 506 screens

Aozora Bunko

て喰うべし――でござった、この原始林を縦横するものは、熊径と鹿路のみと見受けましたが」

「山には野鳥が翔っていましょう」

「左様――」と阿賀妻はほほ笑んだ、「野には、ふくいくと匂う茸が今を限りと簇り生えていましたな」

熊笹の芽、ワラビ、水蕗などがとりわけて目に浮ぶのである。――二日の間、その川に沿って彼らは跋渉し調査した。武器という武器を身につけた。そういう武装は、原始林にいどみ、野獣に備え、餌ものを漁る用具であった。踏みあばいて行く川の畔の濶葉樹つづきの森林に、彼らはふと、黒々と見える常緑の水松を発見した。くっきりと聳え、枝を張り、膨大な幹は永くつづいた生命の逞しさを語っている。期せずしてそこの下草を刈り取り、雨露をしのいだのであった。ようやく雨はやんだが、空気は重く湿っていた。濡れた生木の白い煙が、かさなった葉にしみ通っていた。

その日の夜明けであった。口を漱ぐために河原に下りていた戸田老人が喚いたものである。動物の吼える声のような野太い叫びで呼んでいた。

「似とるぞ、似とるぞ」

何を寝とぼけているのか――うっかりそう思って見おろしていた彼に、戸田老人はぷりぷりして云った。