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ふくざわゆきち

福沢諭吉

高山 毅

Read 福沢諭吉 (ふくざわゆきち) by 高山 毅 (たかやまつよし) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 54,555 characters · 109 screens

Aozora Bunko

福沢家のあととりとなったからには、この中津で、役所の仕事にはげまなければいけない。よそへいって、おまけに、せけんできらわれているオランダの学問をしたいなんて、とんでもない話だ。」

と、おそろしいけんまくで、しかられてしまいました。

そのころ、中津藩の空気は大の西洋ぎらいでしたから、諭吉の気持ちなどさっしてくれるものがないのも、むりはありません。そこで、諭吉は、お母さんにさんせいしてもらうほかに方法がないとかんがえ、そのゆるしをえるじきをねらっていました。

そうしたある日、諭吉は、長崎からかえってきた奥平壱岐のところへあいさつにいきました。壱岐は諭吉を長崎からおいだした人ですが、家老のむすこですから、しらぬ顔をしているわけにもいきません。ひさびさのあいさつをかわし、よもやまの話に花をさかせているうちに、壱岐は、一さつの原書をとりだして、

「ときに、どうじゃ。この本は、長崎で手に入れたオランダの築城書(城のつくりかたの本)だ。めずらしいものじゃろうが。なにしろ、わずか二十三両で買ったほりだしものだからな。」

と、じまんそうにみせました。

諭吉は、大阪の適塾で、医学や物理の本をみたことはありますが、まだ築城書をみたことはありません。