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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Read 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) by 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 160,396 characters · 312 screens
職人小僧は如何に導くべきか
またある商店に雇われた若者は、ただ僅か数円の金をもって菓子の行商を始めたが、いまなお盛んに同商売を持続している。この二人はすなわち年期小僧でなく、雇人制度を実行する主人の下で働いたものであるが、主人の得意をすぐって自分の得意とすることが出来た。これも平素誠実に働き充分信用を得ておいたからであって、ほとんど無資本でしかも主人と異なった商売をして、立派に成功したのである。これに反してある粉問屋に七八年の年期を終えて、ようやく一人前の若者となった人があった。主人は若干の慰労金を与えていうに、お前は開店しても決して我と同業を営んではならぬ。よろしく他に商売を求めよ。それで若者はやむを得ず白米屋を開業したが、米を識別する鍛錬がなかったのと資本の薄いために、たちまちにして失敗し、今はどこに潜んでいるか影さえ見たものがないという。
職人小僧は如何に導くべきか
従来の職人は実に忌むべき癖を持っていた。いわゆる職人根性とて、一種の痼疾となっているものである。すなわち労働時間と休み時間の区別なくて、甚だ自堕落で横着なのである。仕事にとりかかっているのに、煙草吸うては手を休め、またそのうちに仕事にかかり、またしばらくして煙草を吸う。