Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Read 私本太平記 (しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 116,638 characters · 233 screens
ために油の料にも事を欠いて天王寺は貧窮をきわめた。――のみならず師泰は、天王寺塔の九輪の宝鈴を一つ鋳つぶして、こころみに酒の鑵子(ちろり)に造らせてみるに、玲々たる金味があり、これで燗をすると何ともいえぬ芳味があった。
上を倣う下で、われもわれもと、ほかの武士どもがまたこれを真似、またたくうちに、河内和泉の古寺の塔は、塔の簪花たる飾りを失い、宝鈴はみんな武士の酒瓶に化けてしまったという。
かつてのもの。
文化、風習、宗教、公家貴族のもっていたすべてのもの。
武士たちはそれへの侮辱と蹂躪を一種の快とし、随所でほしいままを振舞った。ひとり前述の高ノ師泰だけにかぎっていたわけではない。
近来、ひんぴんと、宮中に盗難があった。朝、皇居の深殿に土足のあとが残っていたり、内侍ノ局の衣裳がごっそり失くなっていたりする。
そこで幕府が探訪のすえ、ひとりの下手人を召捕えた。
ところが、これが歴乎たる武家の子飼いだった。小俣右衛門ノ尉の家来で、御所の門衛と狎れ合いでの仕業とわかり、即日、首をはねられた。
大学頭紀ノ行親の家にも、近ごろ覆面の武士三名が押入った。妻女を暴行しようとしたのに行親は手むかッて、斬り殺された。