Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あきのかご

秋の駕籠

山本 周五郎

Read 秋の駕籠 (あきのかご) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,356 characters · 35 screens

Aozora Bunko

役人は皮肉に微笑した、「どんなわけがあるにしろ、箱根まで五両とは法外な駄賃だ、それをまに受けるとはきさまたちのほうがどうかしているぞ」

六助は「ぎゃふん」と云いたかった。役人の言葉はそう云わせるような調子だったし、六助としてはまさにそう云いたいような気持だった。

「そうするとどうなるんですかい」中次が肚を立てたように云った、「あっし共はまだ一文も貰っちゃあいねえ、此処まで手弁当で来て、江戸へ帰る小遣にも困ってるんですがね」

「諦めるんだな」役人は笑った、「欲にひっかかった罰だ、これからは気をつけるがいい」

六助と中次は茫然と立停った。

役人と米村の手代という男とは、いそを伴れて、(あとから二挺の駕籠も一緒に)大磯のほうへ去っていった。そっちに代官所でもあるらしい、……こちらの二人は道の上に駕籠を置いたまま、ながいこと気の抜けたように立っていた。

「しょうがねえ」やがて六助が云った、「帰るとしようか」

中次は頷いて、先棒のところへいったが、そこで六助のほうへ振返った。六助もそっちを見ていたが、とたんに二人一緒に云った。

「おめえはおれを悪く思ってるんだろう」