Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いのうはりまのかみ
稲生播磨守
林 不忘
Read 稲生播磨守 (いのうはりまのかみ) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 14,172 characters · 29 screens
池田 そりゃむろんそうだとも。おれたちもそれを教え込まれてきた。叩きこまれてきた――だが、おれは近ごろ、人間と人間とのそうした関係に、どうも疑いを持ちはじめてきたのだ。これでいいものかどうかと――。
森 主君の欲するところには、絶対に服従する。ふふうむ、絶対に、理も非もなく――。
池田 何らの大義名分がなくとも、腹を切れと言われれば、即座に腹を切る――切れるか貴公。森、貴様はどうだ。
森 うむ、切る――つもりで、今日まできたが、すこしどうも変だな。
池田 そちの妻を夜伽に――と言われたら?
郁之進 (狂的に両手で耳を抑さえて)またそれをいう。またそれを言う。
森 そうだ! 長続きせんぞ、こういう君臣の関係は。
池田 おれたちは若いから、世の移り変りを早く予感できるのだ。いずれ、何かある、何か起るぞ、きっと――。
郁之進 (顔色を変えて)いや! そんな馬鹿なことがあるものか。君臣の義は大磐石だ。また永代大磐石にするのが、われわれのつとめなのだ。そんな怪しからぬ疑念を持って、どうして御奉公がつとまる! 不届きなことを言うやつだ。
森 貴公ほんとうにそう思うのか。
郁之進 そう思うかとは情ない奴だ。