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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
Read 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 95,012 characters · 189 screens
「うむ」
「おお」
艦隊の戦士たちは、言葉もなく、潮風にヒラヒラとひらめく信号旗の文句を、心の裡に幾度となく、繰返し読んだ。
「建国二千六百年のわが帝国の存亡此の一戦に懸る。各兵員夫れ奮闘せよ」
おお、やろうぜ!
さア、闘おうぞ!
大和民族の腕に覚えのほどを見せてやろう。
一死報国!
猪口才なりメリケン艦隊!
――各艦の主砲は、一斉にグングン仰角を上げて行った。
弾薬庫は開かれ、砲塔の内部には、水兵の背丈ほどある巨弾が、あとからあとへと、ギッシリ鼻面を並べた。
カタパルトの上には、攻撃機が、今にも飛び出しそうな姿勢で、海面を睨んでいた。
艦橋の上に、器用に足を踏まえている信号兵は、目にも止まらぬ速さで、手旗を振っていた。
高い檣の上からは、戦隊と戦隊との連絡をとるために、秘密の光線電話が、目に見えない光を送っていた。
ぶるン、ぶるン、ぶりぶりぶり――
航空母艦の飛行甲板からは、一台又一台と、殆んど垂直の急角度で、戦闘機が舞い上ってゆくのであった。灰白色の機翼に大きく描かれた真赤な日の丸の印が、グングン小さく、そして遠くなって行った。
一隊又一隊と、空中では何時の間にか、三機、五機、七機と見事な編隊を整え、敵の空中目指して突入して行った。