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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
Read 空襲警報 (くうしゅうけいほう) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 45,838 characters · 92 screens
日本海の夕日
大きな夕日は、きょうも日本海の西の空に落ちかかった。うねりの出て来た海上は、どこもここもキラキラと金色に輝いていた。
「美しいなあ!」
旗男少年は、得意の立泳をつづけながら、夕日に向かって挙手の礼をささげた。こんな入日を見るようになってから、もう三日目、いよいよお天気が定まって本当の真夏になったのだ。
「オイ旗男君。沖を向いて、一体誰に敬礼しているんだい」
後から思いがけない声が旗男に呼びかけた。驚いて後をふりむくと、波の間から頑丈なイガ栗坊主の男の顔が、白い歯をむき出して笑っていた。
「ああ……誰かと思ったら、義兄さん!」
それは義兄の陸軍中尉川村国彦だった。旗男の長姉にあたる露子が嫁いでいるのだった。旗男は、東京の中学の二年生で、夏休を、この直江津の義兄の家でおくるためにきているのだった。
「義兄さんずいぶん家へ帰ってこなかったですね。きょう休暇ですか」
「そうだ。やっとお昼から二十四時間の休暇が出たんだよ。露子がごちそうをこしらえて待っている。迎えかたがた、久しぶりで塩っからい水をなめにきたというわけさ。ハッハッハッ」
「塩っからい水ですって? じゃあ、また海の中で西瓜取をやりましょうか」