Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
わらうおしおんな
笑う唖女
夢野 久作
Read 笑う唖女 (わらうおしおんな) by 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,719 characters · 31 screens
こげな式の時には見送りに立たぬものと昔からなっとるが、今の若い者は流儀が違うでのう。心配せんでも宜えわい」
床の間の前では話の腰を折られて唖然となった伝六郎が、新郎の残して行った大盃に気が付くと、
「勿体ない。お燗が冷める」
と云って両手で抱え上げながら顔を近付けてグイグイと一息に飲み初めたので、見ていた下座の連中がゲラゲラ笑い出した。
玄関に近い中廊下の暗がりまで来ると、栗野博士がニコニコ顔で新夫婦を振返った。
「イヤ。これは恐縮でした。……実は玄関に妙な患者が来たという話でな。あんた方は今日は、そげな者を相手にされん方が宜えと思うたけに、私が立って来ましたのじゃが」
「ハッ。恐れ入ります。そんな事まで先生を煩わしましては……」
新郎の態度と言葉が、如何にも秀才らしくテキパキとしているのを、背後から花嫁の初枝が惚れぼれと見上げていた。栗野博士はそれに気付きながら気付かぬふりをしていた。
「いや。実はなあ。その患者が精神病者らしいでなあ」
「エッ……キチガイ……」
「そうじゃ。玄関に坐って動かぬと云うて来たでな。今日だけは私に委せておきなさい。まだ時間はチット早いけれども、ちょうど良え潮時じゃけにモウこのまま、離座敷に引取った方がよかろうと思うが……あんな正覚坊連中でもアンタ方が正座に坐っとると、席が改まって飲めんで