Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Read 細雪 (ささめゆき) by 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 226,715 characters · 431 screens

Aozora Bunko

「いつ来やはったん」

「さっき、御寮人さんがお帰りになると直ぐでございました」

「まだいやはるのん」

「はあ、わたくしが出て参りました時迄はいらっしゃいました。………」

「何ぞ用でもあったんか知ら」

「この辺についでがあったよって見舞いに来た仰っしゃって、取次も待たんと、不意に庭の方から這入っていらしって、………雪子娘さんは次の間へ逃げておしまいになりまして、こいさんと話してらっしゃいました」

「こいさん、怒らへなんだかいな」

「いいえ、機嫌ようお話しになっていらっしゃいましたようでしたけど、………」

幸子は取り敢えずお春をそこに残して置いて、自分ひとり離れ座敷の夫の書斎へ行き、卓上電話に雪子を呼び出して(電話嫌いの雪子は最初「水戸ちゃん」を代りに出したが、済まないが雪子ちゃんに出て貰ってほしいと云うと、不承々々に自分が出た)聞いて見ると、まだ啓坊はいると云う返辞であった。最初は縁側に腰かけていたのが、だんだん日が暮れて寒くなって来たので、上れとも云わないのに勝手に中へ這入って硝子障子を締め、枕もとに坐って話し込んでいる、それにこいさんが又どう云う訳か厭な顔もせず相手になっている、あたしは次の間に引っ込んでいたのだけれど、いつ迄そうしてもいられないので、座敷に出て、二人がしゃべるのを傍観している、さっきから帰って貰おう