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みどりのめ

緑の芽

佐左木 俊郎

Read 緑の芽 (みどりのめ) by 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,815 characters · 10 screens

Aozora Bunko

「おめえ、本当に試験を受げんのだごったら、みっしり勉強しなげえなんねえんだ。」

「ほだげっとも……」

菊枝は、父親のあまりに当て外れたこの言葉に、なんと答えていいのか解らなかった。

「汝あ、家にいでは、とっても勉強なんか出来ねえんだから、山さ来て勉強しろ。山さ書物持って来て……汝あ伐る分ぐれぇ、父が伐っから、汝あな一生懸命に勉強しろ。」

父親のこの言葉は、菊枝に取って涙含ましかった。それは、あまりに温かい、涙含ましい言葉であった。

「ほだげっとも……ほだげっとも……」

「何、構うごとねえ。家の人達はあの通りみんな不賛成だげっと、俺だけは、汝を百姓にしたぐねえと思って……」

「爺様や継母さんは、(家のごどは考えねで、自分ばり楽するごと考えでる)って言うげっとも、俺は稼いだって大したごとも出来ねえから、何が外のごって……」

「そんなごど……汝あも仲々難儀だ。汝あの実母も、百姓などしねえげ、まだまだ死ぬのでなかったべ……」

彼は、若くして死んだ愛妻の死の前後を、その哀しむべき半生を心の中で思い描いた。――それは菊枝を生んで間もなく、当然床の中に臥していなければならないうちに、ちょうどそれが田植えの時期だったので、無理に田圃へ出たのがもとで、産褥熱が昂じ、ひどい出血の後に、忙しい時期にお産をしたことを気にもみながら、夢見心地