Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しばられたあひる
縛られたあひる
小川 未明
Read 縛られたあひる (しばられたあひる) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,532 characters · 9 screens
「しっかり足を縛っておくだぞ、さあ、この繩でな。」といって、父親は、手ごろなじょうぶそうな繩を取り出して、子供の足もとへ投げました。
子供は、だまって、繩を拾って、あひるの足を結んでいました。もう水の上は、ほの白く夜の空の色を映しているだけで、水ぎわに生えているやぶの姿がわからないほど、暗くなっていました。子供は、しばらく、その暗を透かして、水の面がさざなみをたて、あちらこちら泳いでいる、あひるのようすをながめていましたが、手に握っている、繩の端をいばらの木の根につなぐと、さも満足そうに、小舎の中へもどっていきました。それからのこと、暗がりで泳いでいたあひるは、足についた繩の重みで、身動きができなくなったのか、岸へ上がって、やぶ蔭にうずくまってしまいました。
今夜も、ぶなの木は、悲しい唄をうたいつづけました。たぶん、あひるは、何事も夢のようで、意外であった、この一日のでき事を思い出していたのでしょう、目をぱちくりさして、太いくちばしで、傷のついているらしい、翼の下のあたりをなめながら、気にしていました。そのうちに、つい自分が、どこにどうしているということも忘れて、あの居心地のよかった古巣が、この付近にでもあると思ったのか、急に恋しくなって探しはじめました。