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おだのぶなが
織田信長
Read 織田信長 (おだのぶなが) by Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,950 characters · 36 screens
悪逆陰険の曲者だったが、兵法は達者であった。信長同様、長槍の利をさとり、鉄炮の利器たるを知って、炮術に心をくだいた。明智光秀は炮術の大家であるが、斎藤道三について学んだのだと云われている。
こういう曲者が隣国にいて、信長の父は、隙をねらって攻めたり、攻められたり、年来の敵手であるから、信長のモリ役の平手中務は年少の信長に道三の娘をめあわして、後日にそなえておいた。
道三は政略結婚、結構。相手がその気なら、こだわることはない。聟の一匹二匹、ひねり殺すに、こだわる気持が元々ないのだ。
けれども、道三は、さすがに悪党のカンである、大ウツケ者、バカ若殿。この御仁の代には必ず家がつぶれる、という、大評判。ほかならぬ織田家の家来の定説なのだ。然し、さすがにこの悪党は、世の定説のごときものを、そのまゝ、ウノミにしなかった。
人があの小僧はバカだというたびに、ほんとか、なぜだ、ときいた。そして、バカではあるまい、と言うのであった。
フンドシカツギのマゲをゆい、ユカタの着流しに、片ハダぬいで、腰に火ウチ袋やヒョウタンを七ツも八ツもぶらさげて、人の肩につるさがって、瓜をほおばり、餅をかじりながら道を歩いているという。