Japanese reading practice

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens

Aozora Bunko

あんまり小ちゃいと眼の穴の中にでも落っこちそうなんだもの、人間ってとても大きいからナ、口のそばなんか危くて近寄れないもの、人間って何故そんなにばかばかしく、大きい体をしているんでしょうか。」

「これでも未だ僕は小さい方だよ、中には西洋人なぞ、二米もある奴がいるよ。」

「あたいなぞ人間の親指くらいしか、ないわね。」

「きみから見たら図体が大きいんで、いくら驚いても驚き足りないだろうね。」

「おじさま、そろそろ今年の最後の虫を捕りに行きましょうよ、こおろぎなら、まだ、そこらに沢山鳴いているわ。」

「明日の晩行こう、昼間にきみが籠を買って置いてくれれば、何時でも出掛けられる。」

「去年のこおろぎの眼ん玉なんか、すきすきになっていたわね、まるで石炭がらみたいになっていても、まだ、生きているんだもの、」

「人間はそうはゆかない、」

「あたいだっていまに尾も鰭も、擦り切れちゃって、おしまいには、眼ん眼も見えなくなるでしょうね、それでも、生きていられるかしら。」

「さあね、」

「あたい、何時死んだって構わないけど、あたいが死んだら、おじさまは別の美しい金魚をまたお買いになります? とうから気になっていて、それをお聞きしようと思っていたんだけれど。