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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens
いやなくせね。」
「それを真向からいえるということも、ふてぶてしくて好いじゃないか。」
「橋というものは渡れば渡るほど、先には、もっと長いのがあるような気がするわね。けど、橋はみじかい程悲しくて、二三歩あるくと、すぐ橋でなくなる橋ほど、たまらないものないわね、あたいの池の橋だって水の中から見上げていると、天までとどいているようだけど、先がもうないわよ。」
「燐寸箱二つつないだような橋。」
「その橋の下を威張ってとおるたびに、橋は白っぽく長たらしく、僅かに日光をさえぎったところでは、この頃とても寒くなって来たわ、水はちぢんで、ちりめん皺が寄って暗いもの、あたい、どうしようかと毎日くよくよしているんだけど、おじさまだって判ってくれないもの。」
「縁側にきみを入れる、用意がちゃんとしてある。」
「そうでもしてくださらなかったら、このままだと水は硬いし重くなるばかりよ。」
「おじさんのお膝においで。」
「ええ、あら、もう大工さんが登りはじめたわね。あたいね、大工さんて、板や四角い木で字を書いている人だとおもうわ。床という字を書いているうちに床の間が出来上るし、柱という字を書くために柱はとうに建ってしまうし、大工さんだって字書きとおなじだわね。