Japanese reading practice

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens

Aozora Bunko

おじさま、尾にのめのめのものがあるでしょう、あれをお舐めになると、あんまりあまくはないけど、とてもおいしいわよ、しごいてお取りになってもいいわよ。」

「そんなことしたら、きみは泳げなくなるじゃないか。」

「すぐ作れるもの、いくらでも次からのめのめのあぶらが湧いて出てくるわ。あたい、あののめのめの沢山湧いている日が一等うれしい日なのよ、こう言っているまにぐんぐん湧いてくるわ。」

「尾の附根が光り出したね、ちょいと失礼だけれど、お尋ねしますがね、慍り出したらいけないよ。」

「なあに、」

「一たい金魚のお臀って何処にあるのかね。」

「あるわよ、附根からちょっと上の方なのよ。」

「ちっとも美しくないじゃないか、すぼっとしているだけだね。」

「金魚はお腹が派手だから、お臀のかわりになるのよ。」

「そうかい、人間では一等お臀というものが美しいんだよ、お臀に夕栄えがあたってそれがだんだんに消えてゆく景色なんて、とても世界じゅうをさがして見ても、そんな温和しい不滅の景色はないな、人はそのために人も殺すし自殺もするんだが、全くお臀のうえには、いつだって生き物は一疋もいないし、草一本だって生えていない穏かさだからね、僕の友達がね、あのお臀の上で首を縊りたいというやつがいたが、全く死場所ではああいうつるつるてんの、ゴクラクみたいな処はないね。