Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Read 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,970 characters · 176 screens
左門はやにわに小柄を抜き、投げた。小柄は、紙帳の上を、飛び魚のように閃めき飛んだ。
頼母は、背後で悲鳴が起こったので、振り返って見た。竹槍を持った男が、咽喉へ小柄を立て、地面をのたうっている。事情が悟れた。
「左門氏、あぶないところを……お礼申す!」
「貴殿と拙者とは讐敵同士……」
と左門は、逃げおくれた一人を、背後ざまに斬り仆し、
「恩に着るな、恩にも着せぬと申した筈じゃ!」
「…………」
この時まで五郎蔵は、乾児たちと離れて立ち、乾児たちの働きを見ていたが、左門と頼母とに、乾児たちが見る間に、次々に斬ってとられるので、怒りと恐怖と屈辱とで躍り上がり、頼母眼掛け駈け寄ろうとしたとたん、
「オ、親分ーン」
という声が、林の中から聞こえて来、一人の乾児が木の間をくぐって走って来た。
「テ、典膳めは、道了塚の方へーッ」
「おおそうかーッ」
と、五郎蔵は応じたが、
「典膳だけは、俺の手で! ……そうでないと、安心が! ……」
道了塚の方へ走り出した。
謎解かれる道了塚
この頃典膳は、道了塚まで辿りついていた。彼の肉体も精神も弱り果て、息絶え絶えであった。彼は塚の裾の岩へ縋り付いて呼吸を調えた。