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がいていのようこうろ
街底の熔鉱炉
佐左木 俊郎
Read 街底の熔鉱炉 (がいていのようこうろ) by 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,879 characters · 14 screens
だから、会社のようなところでもあるのかと思って。」
「あの人の出張って、どこか遠くへ泥棒に行ったことを言っているんだよ。」
「あら! それを出張っていうの? なかなか洒落ているのね。――でも、小母さん、掏摸なんかには、なんかそんなところがあるそうじゃないの?」
「掏摸のことは知らないけど、併し泥棒会社だなんて、そんなものはないだろうよ。個人経営なんだよ。例えあったって、あの人はそんなところへ勤めて働く人じゃないよ。あの人はとても物事のわかっている人なんだもの。――つまり、そんなところへ関係すると、働きもしない奴に、頭を刎ねられるだろう? それが馬鹿らしいというのさ。あの人に言わせると。――ねえ、房ちゃんも、あんな皺苦茶婆さんに頭を刎ねられているよか、自分で、個人経営にしちゃったらどう? 五割も六割も頭を刎ねられて、馬鹿馬鹿しいじゃないの?」
「馬鹿馬鹿しくたって、わたし、そんな交渉は出来ないんだもの、仕方がないわ。――でも、いくら職業だからって、随分変なものね。雇いたいっていう人があるって、お婆さんが伴れて行ってくれるから、どこへ行くのかと思って従いて行って見たら、自分の家の前を通ってさ、あの家じゃないの? ――いくらなんでも、自分の家の近所へ行くのだけは厭だわ。