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あかいガラスのきゅうでん
赤いガラスの宮殿
小川 未明
Read 赤いガラスの宮殿 (あかいガラスのきゅうでん) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 4,930 characters · 10 screens
あわれな平三は、夜の目も眠らずに、わらをあんで、雪ぐつをつくりました。そして、翌日は、それを持って、村から村へ、売って歩きました。
晩方、家に帰ると、小さな徳利をさげて、町の酒屋へ酒を買いに出かけたのです。
彼は、毎日毎日、晩方になると、徳利をさげて、酒を買いにゆきました。しかし、三国一の花嫁は、家の奥深くはいっているとみえて、一度も、その顔を見ることができなかった。いつも、頭のはげあがった番頭が、上目を使って、じろりと平三の顔をにらむように見て、一合ますに酒をはかっていれて渡しました。彼は、毎日毎日失望して、家へ帰ってきたのであります。
「あほうの平三は、いつから、あんなに飲み助になりおったか。」といって、村の人たちは、彼が、ちらちらと雪の降る中を町の方へ徳利をさげてゆく、さびしそうな姿を見送ったのでした。
平三は、あまり、酒が好きでなかったから、飲み残しを、大きな徳利にうつしておきました。そして、だんだんそれがたまって、酒は大きな徳利いっぱいになろうとしました。
ある日、彼は、今日こそ美しい嫁御を見たいものだと思って、酒を買いにゆきましたが、やはり見られなかったばかりでなく、番頭から、冷淡にされて、悲しんで家へ帰ると、徳利の酒を茶わんにうつして、かなしみを忘れようとして飲みほしました。