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こんどういさみとかがく
近藤勇と科学
直木 三十五
Read 近藤勇と科学 (こんどういさみとかがく) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,465 characters · 28 screens
それに味方の伝習隊が役に立たぬ」
「味方の鉄砲が役に立たぬに、敵の鉄砲が」
「シャスポーを、フランス式は使用しているが、何んでも幕府に金の無い為、安物を買ったとかで、銃身の何っかが曲った廃銃まであるという噂もあった」
「有りそうな事だ。そして、誰が討死した」
「うむ――周平が、山崎が、藤堂が――」
「皆、鉄砲でか」
「うむ」
近藤は、暫く、黙っていたが
「何んとか、法の無いものか? 俺は、あると思えるが――」
と、云うと、自分の肩の鉄砲疵の事を思い出した。
(これは、不意討だった。前に、覗っている奴が見つかったなら、撃たれはしまい。謙信は、鉄砲ぐるみ、兵を斬った事さえある)
土方は、懐の金入から、小さい円い玉を出して
「これが、弾丸だ。わしの前へ落ちた奴を、ほじくり出してきた。もう二寸の所で、やられる所だった」
近藤は、じろっと、見たまま、手に取ろうともしなかった。
下篇ノ一
「何うにか、成るだろう」
開陽丸の甲板の手擦りに凭れて、岩田金千代が、友人の顔を見た。
「御前は呑気だよ」
空は晴上っていた。波は平だった。そこに見える陸地に戦争があって、その戦争に、一昨日まで、従っていたとは思えなかった。