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めいしんとしゅうきょう
迷信と宗教
井上 円了
Read 迷信と宗教 (めいしんとしゅうきょう) by 井上 円了 (いのうええんりょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 151,147 characters · 298 screens
左に、鬼火に関する従来の理科学者の研究結果の概要を記してみよう。ただし、確かに鬼火という中には、狐火、人魂、不知火等、すべて夜間に光り、俗に不思議とみなさるる現象を含んでおる。
鬼火に関する理科学的研究結果が、はじめて世に発表されたのは、西暦一七二六年のことで、研究者はドイツの物理学者ムッシェンブレウグであった。この記事によると、ムッシェンブレウグは、鬼火が実際夜間に見ゆることについて、少しの疑いも置かない。しかして、自身これを捕らえて見たら、蛙の卵に類似した粘着性の物質で、多分これは燐素であろうと述べている。一八〇〇年の初めに至っては、鬼火の原因は沼気、燐化水素、あるいは双方の燃焼にありとの学説が起こったが、由来、鬼火を見たという人々の言がまちまちで、したがってその種類も非常に多く、中にはずいぶん荒唐無稽の語も付随しておるため、学者はその原因についてだいぶ疑いを抱くようになり、ドイツの雑誌『アナーレン・デル・フィジーク・ウント・ケミー』の主筆ポッゲンドルフのごときは、特に鬼火を見たという人々の談を募集し、各方面より来たあまたの報告を世間に発表したが、これが鬼火なるものは実際あることの証となり、かつその原因を理科学的に研究する好材料となった。