Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
Read 長崎の鐘 (ながさきのかね) by 永井 隆 (ながいたかし) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 65,109 characters · 131 screens
その色は紫褐色である。剥離部の皮下からは軽い出血がある。受傷時の感覚は熱感ではなく瞬間の激しい痛覚で、そのあとにいちじるしい寒冷感と疼痛を訴えた。剥離した皮膚は脆弱で、容易に断烈して除かれた。この種の熱傷を受けた者のほとんど大部分は速やかに死亡した。私はこの原子爆弾熱傷の発生機転をこう考える。熱輻射によって対弾露出部が熱傷を受け、組織が熱変化を起こして脆くなり、皮下組織との結締繊維も弱くなる。熱輻射は秒速三十万キロだから、爆裂と同時に到達して、まずこの変化を与える。非露出部は皮下との結締繊維も健在である。次いで、かなり遅れて爆圧が来て、その後が真空になり、身体の周囲に陰圧ができる。その結果、身体皮膚は外方に強くひっぱられる。健康皮膚はそのまま残るが、熱傷部のみは剥離する。こんな機杼は他の場合には起こらないわけである。
一キロ以上三キロくらいまでは、普通火傷といわれる皮膚変化を見た。受傷の時熱感を覚えた者もあり、覚えぬ者もある。灼熱疼痛感があり、皮膚は速やかに発赤し、一時間ないし数時間後に水泡を生じた。ところがこれも普通の火傷と大いに趣を異にしているというのはガンマ線、中性子を同時に受けている点である。