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ほしみせ

露肆

泉 鏡花

Read 露肆 (ほしみせ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,973 characters · 32 screens

Aozora Bunko

寒くば貸そう、というのであろう。……

挙動の唐突なその上に、またちらりと見た、緋鹿子の筒袖の細いへりが、無い方の腕の切口に、べとりと血が染んだ時の状を目前に浮べて、ぎょっとした。

どうやら、片手無い、その切口が、茶袋の口を糸でしめたように想われるのである。

「それには及ばんですよ、ええ、何の、御新姐。」と面啖って我知らず口走って、ニコチンの毒を説く時のような真面目な態度になって、衣兜に手を突込んで、肩をもそもそと揺って、筒服の膝を不状に膨らましたなりで、のそりと立上ったが、忽ちキリキリとした声を出した。

「嫁娶々々!」

長提灯の新しい影で、すっすと、真新しい足袋を照らして、紺地へ朱で、日の出を染めた、印半纏の揃衣を着たのが二十四五人、前途に松原があるように、背のその日の出を揃えて、線路際を静に練る……

結構そうなお爺さんの黒紋着、意地の悪そうな婆さんの黄色い襟も交ったが、男女合わせて十四五人、いずれも俥で、星も晴々と母衣を刎ねた、中に一台、母衣を懸けたのが当の夜の縁女であろう。

黒小袖の肩を円く、但し引緊めるばかり両袖で胸を抱いた、真白な襟を長く、のめるように俯向いて、今時は珍らしい、朱鷺色の角隠に花笄、櫛ばかりでも頭は重そう。