Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Read 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 121,438 characters · 238 screens
自分の笛ももちろん相当のものではあるが、とてもそれとは比べものにならない。喜兵衛は彼がどうしてこんなものを持っているのか、その来歴を知りたくなった。一種の好奇心も手伝って、彼はその笛を戻しながら、芒を折敷いて相手のそばに腰をおろした。
「おまえはいつ頃からここに来ている。」
「半月ほど前からまいりました。」
「それまではどこにいた。」と、喜兵衛はかさねて訊いた。
「このような身の上でござりますから、どこという定めもござりませぬ。中国から京大坂、伊勢路、近江路、所々をさまよい歩いておりました。」
「お手前は武家でござろうな。」と、喜兵衛は突然に訊いた。
男はだまっていた。この場合、なんらの打消しの返事をあたえないのは、それを承認したものと見られるので、喜兵衛は更にすり寄って訊いた。
「それほどの名笛を持ちながら、こうして流浪していらるるには、定めて子細がござろう。御差支えがなくばお聴かせ下さらぬか。」
男はやはり黙っていたが、喜兵衛から再三その返事をうながされて、彼は渋りながらに口を開いた。
「拙者はこの笛に祟られているのでござる。」
二
男は石見弥次右衛門という四国の武士であった。