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おんぱのさつじん
音波の殺人
野村 胡堂
Read 音波の殺人 (おんぱのさつじん) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,399 characters · 30 screens
「何処に置いてあったんだ」
「部屋の隅の三角戸棚の上さ、象牙細工の豪華な箱に入って居たんだ相だ、その場所は女中も、藤井も、岡崎も知って居る」
「入口から手を伸して、その拳銃が取れるかい」
「取れない事はあるまいが、少し六づかしいな」
「藤井が気が付いた時、入口の扉は開いて居たのか、閉って居たのか」
「それは解らない、何しろ面喰って居たらしいから」
「指紋は?」
「拳銃には不明瞭な若菜の指紋があるだけで、手袋をはめるか、半巾で握って引金を引けば、指紋は残る筈は無い、藤井と若菜と一緒にピアノを弾いて居たから、そんな細工をする隙もあるまいが、鳥子もインテリで探偵小説位は読むから、そんな事には気が廻るだろう」
「角度は、――拳銃の弾の来た方向は?」
「三角戸棚の方だ、その点で鳥子は救われる、廊下から扉を開けて撃ったのなら、弾丸はもう少し右の方へ行く筈だが、ぐっと左から――つまり連弾して居た藤井薫の方から斜に射込まれている」
「藤井薫の方からだね」
「藤井は疑の外に居るよ、連弾し乍ら相手を撃つのは六づかしいし、それに、手袋や手巾などを用意し乍ら、ピアノは弾けない」
「――――」
「もう一つ、拳銃と時計とピアノ最強音と一緒に鳴ってから、興に乗って藤井は三四小節弾き進んで居る」