Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Read 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) by 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,248 characters · 27 screens

Aozora Bunko

……おい、ひょろ松、これから棺桶の取戻しだ。おまえもいっしょに来い……といって、駈け出したんじゃ間にあわねえし、町駕籠でも精がねえ」

ふと向いの邸に眼をつけると、膝をうって、

「うむ、いいことがある」

ちょうど真向いが、石川淡路守の中屋敷、顎十郎は源氏塀の格子窓の下へ走って行くと、頓狂な声で、

「誰か、面を出せ……誰か、面を出せ」

と、叫び立てる。

声に応じて、陸尺やら中間やら、バラバラと二三人走り出して来て、

「よう、こりゃア、大先生、なにか御用で」

「これから、亡者を追っかけて冥土まで、……いやさ、日暮里まで行く。……早打駕籠を二挺、押棒をつけて持って来い。……後先へ五人ずつ喰っついて、宙を飛ばして行け。棺桶は、もう一刻前に芝を出ている……合点か」

「おう、合点だ……たとえ、十里先をつッ走っていようと、かならず追いついてお目にかけやす、無駄に脛をくっつけているんじゃねえや」

切れッ離れのいいことを言っておいて、中間部屋のほうへ向って、大声。

「それッ、大先生の御用だ、早乗を二枚かつぎ出せ」

たちまち、かつぎ出された二挺の早打駕籠。

「しっかり息綱につかまっておいでなさいまし……口をきいちゃアいけませんぜ。